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物凄く久しぶりな感じです。
夏の間、PCの調子が悪かったので、暫くネット落ちしておりました。
(益田祭りでは、沢山のご支援ありがとうございました!!)

近所の酒屋さんに声をかけてもらって
スパークリングワイン飲み放題企画に便乗して、
自分達のバンドも出させてもらいました。
休憩をいれながら3時間あまりのジャズライブ。
浴衣姿のお子ちゃま達が曲にあわせて踊りまくったり、
喧嘩して大声で泣き叫んだり、
はじめは大人しかったカポーが、だんだん酔いがまわってくると同時に
おいら達の前でいちゃいちゃはじめたり、
近所の爺さんから「いいぞー」と声をかけてもらったりと、
わいわい盛り上がらせてもらいました。

盆には白馬へ出かけて、そこでジャズ合宿。
8月の終わりにも、ちょっと歌わせてもらってきました。

そんなジャズ漬けな夏を過ごしておりました。
秋になって、ようやくPCも落ち着いてきましたので
ぼちぼちこちらの方も動いていこうかと思います。

あと、今一番欲しいのはシャツワンピース。
麻のワンピースが欲しいです。

寒くなったら、この上にトレンチコートを羽織りたいですな。

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こんにちは、花粉症でこの一週間あまり、夜のなると寝込んでいる状態です。
でも、毎年のことなので気になさらないで下さいね。

最近はついったーを中心に交流を繋げているのですが
時々メールやウェブ拍手で感想をいただけたりすると、本当にありがたいなあと思います。
頂いたメールやメッセージ、ありがたく読ませてもらっています。
「monmon」の方に感想を下さった方、どうも有難うございました。
花粉症がおちついてきましたら、話の続きを書こうと思います。


さてさて、話の続きでもしましょうか。小さなてんとうむしのお話を。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ladybird 3



朝方に見た流れ星。夜のおわりを告げるように、鶯色の空をひゅっと、星は斜めにまたいでいった。
流れ星って、きれい。そして、切ない。
星が流れていくのを見たのが始めてだったからかもしれない。誰よりも眠りを貪るのを趣味とする私が、
はじめて眠れなかった夜。人間の、あの人の事を思っていたら眠れなくなってしまったのだ。
あの人とであったのはほんの偶然。とすると、今度会える偶然はきっと無いと思う。
たとえ、同じ様に花の中でじたばたともがいでみせても、あの人は来ない。
一体どうしたら、あの人にもう一度会えるのだろう。私は真剣に悩んだ。
彼とであった場所は森の中でも畑の中でもなかった。
人工的なものが幾つか点在して、私達が心を許して住むには難しい環境だ。
そして私達が必要としている緑や美しい水は不自然な状態で共存していた。
そう、とても不自然な。
同じ種類の花が同じところで幾つも咲いて、同じ背丈で花を咲かせていた。
風が吹けば花はいっせいに同じ方向へうな垂れ、
まわりの木々も花たちに習うようかの様に同じ方向へ梢を鳴らした。
そうだ、あれは確か……。
消えていく流れ星を見た時、頭の中に「公園」と言う言葉が浮かんだ。
緑も花も水も人の手が加わった場所のことを、人間は「公園」と呼ぶらしい。
そこで人間は思い思いに羽を休めるのだ。
私がうっかり選んでしまったアネモネの花は、その公園の中にある花だったと思う。
きっとあの人は、公園に様があってきたのだろう、そして私は、あの人と出会ったのだ。
蒼い眼の中に浮かぶ小さな星。それはとても寂しげに光っていた。
明日、公園に行ったら……また会えるのかしら。
夜露で顔をぬぐうと、私は濡れた瞳のまま、空を見上げた。空は白々と明けていた。

 

「おい、アンタ」
夜が明けてから暫くした後。昨日の晩御飯の残りを食べていたら、聞き慣れた声がした。
けれど私は、聞こえないふりをした。
「どうしたんだい、念入りに体を磨いちゃってさ。
ははーん。さては、誰か良い相手でも見つけたのかい?」
昨日の晩のうちに、しっかりと夜露で体を磨いたおかげで、
私の体はいつになくきれいに光り輝いていた。

去年の秋、まわりに一日でも早く子孫を残すようにと進められた私は、
言われたとおり「集団婚活」に参加した。
きちんと体を磨いたのは、その時以来だ。
その時は、私は成人したばかりだった。何日もさなぎの姿で眠り続け、気がついたら自分の殻を脱いでいた。
殻を脱いだ瞬間、私は生まれ変わっていた。私の体型はそれまでとは別人なほど丸くなっていた。
つやつやの背中には黒い紋。空に浮かぶ星の様に、幾つも背中で輝いている。
私の背中の紋に惹かれて、同じ仲間の男達は束になって私に求婚した。
優しい言葉をかけてくれるものもいれば、強引に私と契りを結ぼうとするものもいた。
けれど、頑固として私はまわり拒んだ。急に、嫌気がさしたのだ。

子孫を残さなければ、卵を産まなければ、立派に成長したとは言えない。
何度もそういわれたけれど、私は聞こえないふりをした。
望まない繁殖なんて、絶対にしたくなかったのだ。
「なんで何も答えないのさ!昨日から本当にアンタはどうかしてるよ。
もしも、また昨日と同じところへ行こうとしたら……あたしゃ承知しないよ!」
鱗粉をあたりに巻き散らかしながら、おばさんは私に食って掛かった。
関係ないよ、おばさんには。だんまりを決め込むと、私は蓬の葉っぱでくるまれた部屋を出た。
「アンタ!どこに行っちゃうのさ!ちょっと……!!
人間に自分から会いにいくなんて、どうかしてるよ!!」
部屋には何も残さなかった。
ひょっとしたら、もうここには帰ってこれないかもしれない。
のんきにおばさんの嫌味を聞くこともできないだろう。
そう思うと、私の背中に向かって怒りをぶちまけるおばさんの声がとても愛しく感じる。
さよなら、モンシロのおばさん。そしてありがとう。みなしごの私を、今まで可愛がってくれて。
私はこっそりと、涙を拭いた。

そして少しも進まないうちに、私は羽を広げた。
いつも飛び方がへたくそだと周りの連中に野次られるけど、今日はいちいち気にしていられない。
「アンタ!」
すぐそばで、おばさんの羽音が聞こえる。けれど振り返ることなく、私は飛び続ける。
ふらふら、ふらふらと。アネモネの花が幾つも揺れる、あの場所へ。
神様お願いします。もう一度、あの人に合わせてください……!!
羽を精一杯に広げると、私は必死になって飛び続けた。
お日様の光が、じりじりと私の背中を焼き始めた。



勤務して以来、はじめて春休みをしっかり頂きました。
それも6日間。
休む前、帰り支度を整えていると「休みはどこか行かれるんですか?」と上司に聞かれましたが
自分は笑って「どこにもいかないですよ!」と答えました。

ほんと、そのとおり。
ほとんど部屋の中。
日曜日に、この数ヶ月忙しさにかまけていけなかった墓参りをしたぐらい。
あとは家でお茶を飲んで、話を書いて、書いては消して、ゲーム(コルダ)をやっての繰り返し。
昨日の嵐が吹き荒れる前、とても暖かい日が続きました。
部屋の中にいるより、外の方が温かい。
家人の分と一緒に作った弁当をベランダに持ち込んでお昼をとりました。

そんな春休みを過ごしておりました。

今日から仕事始め。新年度開始にむけて会議やら、新学期の準備でおおわらわ。
8時過ぎの帰宅となりました。
皆さんと同様、また忙しい日に戻りますけど、ちょこちょこと創作を続けていきたいと思います。

この前から続けている話と、絵チャの記録はまた今度。

今日はひとつ、違う話を。
カルタ企画で、自分は「せ」の読み札を作ったのですが、
先日ワタナベさんが素敵な絵札をつけて下さいました。
ワタナベさんの素敵な絵を見ながら、ちょっと話を書いておりました。

さわりだけですが、また気が向いたら読んでみてください。

先生のソナチネ1

-----まったく。おまえさんはやる事が危なすぎる。どうして人間なんかに興味を持つんだろうねえ……。
-----だって、あの人。悪そうに見えなかったんだもん。
----なんだい、「あの人」って。ああ、やだやだ。
     人間にそんな敬称をつけるなんて、おまえさんどうかしてる。
----優しかったのよ。あたしをぎゅっと潰そうなんてしなかった。あたしの命を救ってくれたんだもの。
----単なる気まぐれだよ。あいつらのやることなんて、いつも気分次第だ。
      とにかくあいつらは物欲の塊だからね。気になったものは、まずは捕らえてみる。
  捕らえ方も酷いもんだ。あの「手」とか言う大きなものを使ってぎゅーっとつかむ奴もいれば、 
  「網」とか言う道具で捕らえる奴もいる。
  あたしなんて、あいつらにさんざん追い掛け回されたせいで、このとおり羽がボロボロさ。
----だけど、あの人……。本当に優しかったよ。
----好い加減にしな。人間に心を許した虫はあっという間に命を落とすってことになるんだ。
  今度この話をしたら、ただじゃおかないよ!

いつもは世話好きなおばちゃんとして慕っていたけれど、今日のおばちゃんは、いちいち私の心にひっかかった。
分かってる。おばちゃんの言っている事はもっともだと思う。 
たくさんいた私の兄弟たちも、ほとんどは人間の子どもとやらに連れて行かれてしまった。
勝気な上の兄さんは、子どもの手をめがけて強烈な汁をかけてやったら、
その瞬間に空中へ弾き飛ばされてしまった。
命は取り留めたものの、あれ以来兄さんは蓬(よもぎ)の葉っぱにくるまって、
ずっとずっと、殻に閉じこもっている。
だけど……。
----あの人、本当に優しかったんだもの。
私は心の中でもう一度呟いた。確かに、凄く怖かった。本当に怖かった。
恐る恐る目をあけてみたら、すぐ近くに人間の顔があって、思わず漏らしそうになった。
外敵に対する最大の防御として、私達は黄色い体液を分泌する。
その効果は絶大で、空中から攻撃してくる鳥や鋭い刃を持つ蟷螂(かまきり)達からも敬遠されている。
だけど、兄さんみたいにはなりたくない。
気を失いそうになるのを必死にこらえると、私はじっとその視線に耐えた。
不思議な感じだった。顔の中心に蒼い水晶のような光。あれが人間の眼なのだとわかった。
造りは私達のとまったく違うものなのに、どうしてか、嫌悪できない。
あの蒼い色が攻撃的に見えなかったからかもしれない。
あの眼に見つめられると、とても優しい気持ちになるのだ。
そして、人間の手は、とてもやわらかかった。
いつもねぐらにしているアブラナの花より、もっとふかふかで温かい。
もしかすると、囚われてしまうことだって十分ありうるのに、私は何も動かなかった。


どれぐらい時が経ったのだろう。
ふっと小さな声が聞こえた。

------きれいな色ですね。

はっと、私の心が大きく揺れた。それは今まで聞いたことの無い様な優しい声。
きれいな色ですねって、一体何に向かって話しかけているのだろう。
ざわざわと乱される、この心地。それはとても気持ちが良かった。
もっと知りたい。自分の命を守るより、好奇心の方がついに勝ってしまった。
とじきっていたからだをのばして、私はもぞもぞと動き始める。

------あっ、動きました。

その瞬間、ため息と共にその言葉が聞こえてきた。そうだ。この人間は、私に興味を持っている。
大丈夫。きっと、この人間は私に危害を与えないはず。自分の直感を信じて、私は思いのままに動いた。
モンシロのおばさんの様に見せれるような羽は無い。
近場を移動する為に広げる羽は、どの虫達よりも地味なもの。
何の取り柄も見栄えもしない私に、この人は「きれいな色」と言ってくれた。
見せたい。もっと、私を見て欲しい。
こんな感情が自分にあったのを始めて知った。蒼い眼の人は、その後も暫く私を眺めてくれた。
きっと喜んでくれたのだろう。時折、あの蒼い眼がまぶしそうにとじることがある。
そして、その後は必ず私の体に触れてくる。
少しも嫌な気持ちになれなかった……。




---ったく、おばさんったら。散らかすだけ、散らかして……。
我に返ると、私はねぐらのまわりの片付けを始めた。アカシアの蜜にアブラナの油脂。
モンシロのおばさんと違って、私の主食は本来肉食だ。けれど、なぜか今日は何も喉が通らなかった。
いつもなら物足りなく思うアカシアの蜜が、今日はとても心に染みた。
もしかしたらこれを機に、私も菜食主義に変わってしまうかもしれない。
----また、会えるのかしら。
明日になったら、またあの場所へ行ってみたい。今度はもっと、あの人と関わってみたい。
クローバーの葉っぱで床を拭いていると、ふと光るものを見つけた。砂よりも細かく、さらさらとしている。
おばさんの麟粉(りんぷん)だ。
私の言動に憤慨した時に落としたものなのだろう。
葉の隙間に入り込んだ月の光に照らされて、それはきらきらと妖しく光った。
----きれい。
思わず手にとると、私は自分の体に撫で付けてみた。
どうかしら。
少しはきれいに見えるのかしら。
私はあの人の事を想った。

 

 

つづく。


昨日のお話の続きです。「えっ?こんな話読んでくれてるんだー」とめちゃめちゃ驚いております。
虫ですよ。虫ネタでGS書いちゃうなんて、どうなってんだと思いますが、
もたこさんのテントウムシちゃんがあたいの心を突き動かしてくれます。
がちゃさんの凄く素敵なあの絵の部分は、この話の続きで使わせていただこうと思います。
ちなみにちーちゃんは、虫に対しても敬語を使うと思います。
それも片言で。ひーー、片言萌えなんですよー。

ついったー、拍手などで熱いメッセージと感想ありがとうございます。
もう少し、この話を続けさせてくださいませ。

 

そして、絵チャの思い出。
茅さんが一度落ちまして、その後入り直してこられたのですが、「桜井 茅」と名をあたらめられて。
そこから先は来られる人みんな、まるでしきたりに乗るような、これが礼儀だといわんばかりに
とんでもない名前で来て下さいました。
今回、うっかり文字ログをとるのを忘れてしまったので、
参加者全員のあらぶる名前を思い出せないでいて
ちょっと苦しんでいるのですが、
一番すごかったのか「プリストファー・ウェザー・フィールド」と名乗ってきたプリさん。
普段「プリさん」と簡略して呼んでいるのに、いきなりその名前で来たので、会場皆で爆笑。
おまけに文字多すぎて、チャットの名前欄に全部おさまりきれないし。
そんなプリさん。その名前を拝借したからには敬意を込めてと、素敵なくーちゃんを描いて下さいました。

purisan.gif
ええなあ。
桜じゃー。
プリさん、絵チャ来て下さるとほんと面白いのよねえ。

 

 

オマエは随分潜るのが上手くなったねえ。
この前、モンシロのおばちゃんが、そう誉めてくれた。
良かった、良かった。なにもかもが黄色く染められていく4月、私の周りには沢山の花が一斉に咲き始めた。
それまで堅くすぼめていた花びらを、この時とばかり広げていく。
ある花は匂いをまきちらし、ある花はたっぷりと花粉を蓄えて。
花たちは何も語ってくれないけれど、私はあの子達の気持ちが良く分かる。
お前達虫共よ、どうか私の願いを聞いておくれ。私のかげがえのない、この命の欠片。
どうぞ、次の春も咲かせておくれ。
住む土地は選べない。お前にまかせるから、私をどこかで咲かせておくれ。
そんなふうに、花たちが訴えているような気がするのだ。

tentou.gif














(益田もたこんぶ様 画)




ちなみに、花の中にもぐるのが一番上手いのはミツバチの方々。
羽を最大に震わせながら、幾つもの花の中に飛び込んでいく。
時には花の蜜に酔わされて、そこで命を落としてしまうものもいると聞いている。勇敢だ。
私の場合、ミツバチや蝶のようには上手くいかず、きまって花の中で暫くうずくまっている。
なにせ体が丸いのだから仕方がない。飛ぶこともできるのだけど、あまり長い事飛んでもいられない。
けれど、このつやつやの背中にびっしりと着いた花粉を、私達は時間をかけて目当ての花に届けていく。
私だって、少しは役に立ちたいのだ。

色々と忙しいこの季節。今日も私は朝から幾つもの花の中にお邪魔していた。
アネモネは茎のところに小さな歯がついているから、花のところまではとても登りやすかった。
わーい、らーくちーん!
そう、油断したのがいけなかった。
花の中にもぐりこんで暫くした後、私はそこから出ることができなくなってしまったのだ。
アネモネの花びらは思ったよりも大きく、そして複雑だ。
パニックになった私は暫くそこでがむしゃらに手足を動かした。
だけどもがけばもがくほど、幾重もの花びらが私の体に巻きついてくる。
そうこうしているうちに、とうとう私の体は仰向けにひっくり返ってしまった。
ひっくり返ったが最後。
滅多なことには体勢を立て直すことができないのだ。
---うーん!
---ふーん!
私は心の中で何度も声をあげた。どうしよう。
私はこのまま、この花びらに囚われたまま命を落としてしまうのかしら。
まだ恋もした事が無いのに。卵も産んだことがないのに。目の周りが黄色に染まったまま、私は……。
そう、絶望した瞬間だった。花びらの外から、聞き慣れない音が聞こえてきた。
あたりの草をかきわけ、ゆっくりと地面を踏みしめる音。近付くたびに花が大きく揺れる。
-----ひょっとして、これが……に、ん、げ、ん?
ゆらゆらと揺れに体をまかせて、私はぼんやりと思った。
私達よりずっと大きな生き物。人間という生き物が、一番大きいことを
何となく知っていた。飛ぶことはできないけれど、奴らはとにかく力が強い。
そして時には私たちに強い関心を寄せ、無理やり生け捕ろうとするらしい。
生きたまま捕るならまだしも、中には残酷に潰してしまうのもいるとか。
----人間に捕まっちゃうのかな。
どうなんだろう。つかまったら、ぎゅっと潰されるのかな。
ここに閉じ込められているのも、つかまるのも変わらないよね。
あーあ、せめて最後に、お日様の下でびゅーんと気持ちよく飛んでみたかった。飛んで……。

その時、目の前の景色が急に暗くなった。ふわっと風が私の頬に当る。急速に、何かが私に近付こうとしている。
赤紫の花びらが大きく揺れた。そして見たことも無い大きなものが私の体に触れた。
----潰される…!!
きっとこれに私の体は押しつぶされてしまうのだ。
咄嗟に、私は体を硬くした。少しでもチャンスがあったら、飛んでみたい。だから私は…・・・死にたくない!
----嫌!!
そう心の中で叫んだ時だった。
「大丈夫……ですか?」

やわらかな。
やわらかな声が私の心に響いてくる。思わず私は、声の主を探した。
きっと、私に触れてくるこの大きいものの、その声の一部だと思う。
堅くすぼめた足をゆっくりと伸ばしながら、相手の出方を待ってみる。
「ひっくり返っちゃって……可哀想に」
大きいものは、そっと力を加えるとすぐに私の体を戻してくれた。
それもそれまで囚われていた花びらはどこにも見当たらない。
どうしちゃったんだろう……。
恐る恐る、私は周りを観察した。

 


さて、今日はこれまで。
etya1.gif






















絵チャって素敵ですね。素敵な絵のお陰で、話が浮かぶから。
がちゃさんが描いて下さった、「テントウムシとちーちゃん(千晴)」から
ちょっとした小話を書かせてもらっています。
そして真ん中にある、もたこさんのテントウムシさんが
あまりにも可愛らしいことも書きたくなった理由のひとつ。

絵チャの話と、この話の続きはまた明日。

絵チャに来てくださった皆様、どうもありがとうございました。


 

※「あらほく」とは、あらさーの「ほくちゃん」と言う女の子と嵐さんの恋のお話です。
……と、とってもファンタジーな話です。

寛大な気持ちで読んでくださいな。



短編その1   「みやげもの」


もうすぐだ。
それまで読み進めていた漫画本をぱたんと閉じると、ほくちゃんはテレビの上に置いてある時計を見つめた。
時計台を象った稚拙な創りのそれは、もうすぐここにやってくる予定の恋人からの、旅の土産だった。
あまり美味しくないバター飴とキタキツネのバッチ、そしてこの目覚まし時計。
今から1年と少し前、ほくちゃんはこれをもらった。

「これなんだけど……。ほくちゃんは、ちょっと寝起きが悪いからさ。だから、これでもいいんじゃねえかって、さ」
そう言って、少し照れ笑いを浮かべながら、彼はほくちゃんに土産の包みを渡した。
その時彼は、17の誕生日を迎えたばかりだった。
青少年というより、頭に「青」と言う文字をとっぱらってもおかしくないほど、彼は若い。
そんな、自分より遥かに年下の彼が、自分の為に選んだ土産。
ほくちゃんは、それを見た瞬間、ただ「ふーん」と、だけ言った。
そして中身を確認することもなく、不機嫌そうな顔をして台所の方へ逃げた。
恥かしかったのと、嬉しかったのと、色んな気持ちが溢れそうになったのだ。
だけど、それをむやみに相手に披露してはいけない。
男なんて、こっちが惚れているのを知ったらすぐに態度を変えるから。
ましてや向こうは、自分よりもずっと若い。そんな彼が年上の自分に愛想を尽かすのは時間の問題だ。

嬉しいことなのに、すぐに悲観的に物を考えて守りに入ってしまう。
数ある経験の中で得た、ほくちゃんなりの精一杯の駆け引きだ。
台所へ逃げたほくちゃんは、何食わぬ顔を装いながら、若い恋人の為に湯を沸かした。
そして静かに茶を一服淹れると、無愛想な顔をして茶をふるまう。
「ほくちゃんのお茶って、やっぱ、すげえ……」
17歳なりの幼い言葉だった。
けれどほくちゃんは、その言葉を特別な想いで聞いていた。恋人の、ひとまわりも大きな胸の中で。

今日は煎餅にしようかな。
立ち上がると、ほくちゃんは台所へ向かった。やかんに水をくべ、火をかける。そしてこぶりな湯飲み茶碗を2つ。
旅の土産物は、ここにも健在していた。修学旅行は、ガラス細工で有名な北の土地だったはず。
なのにどうしてか彼は、湯飲み茶碗を2つ持ってきた。
落としたらすぐにかけてしまいそうな焼き物の湯飲みに、自分で染付けを施したもの。
友人達と遊びのつもりで作ったらしいが、できあがった作品はすこぶる真面目な作りだった。
ひとつには、「ほくちゃん」。そしてもうひとつには恋人の名前である「嵐」。寿司屋の湯のみの様に立派な筆文字だ。

「なんで、名前をわざわざ書いたの?何か絵でも入れたら良かったのに」
こんなにでっかく「ほくちゃん」なんて書かれたら恥かしいよー。
最後の部分は心の中でぼやいた。
どこまでも無愛想なほくちゃんに対して、それでも彼は何も怒らなかった。
しかもちょっと嬉しそうな顔で、こう答えたのだ。
「うん。なんかさ、夫婦茶碗って感じがしてさ」

それ以来ほくちゃんは、彼が家を訪ねるたびに、この茶碗で茶を淹れることにしている。
ちょっと良い茶を使って丁寧に淹れて、決まって不機嫌そうに出している。
そしてほくちゃんが淹れてくれたお茶を、彼はごくごくとがぶ飲みするのだ。

「嵐、まだかなあ……」
うっかり独り言を漏らしてしまったほくちゃん。誰もいない部屋の中でぽっと、顔を赤らめるのであった。

 


今日のおはなしは、これでおしまい。

 





こちらも、こんなに雪が降りました。今日は雪だるまを作りました。
ちょっと凹んだ表情の雪だるまさん。
何か面白いことでも言って、笑わせなくちゃ。


●久しぶりに書いた氷室先生のお話に、感想をよせて下さいまして
ありがとうございました。
……ありがとう!!
今、GSカルタにちなんだ小噺を書いております。
氷室先生のお話です。早いうちにUPできると良いなあ。

●カンタループの方にも拍手メッセージありがとうございました。
感想を伝えるのが苦手ですと仰っていたアナタへ。
とても丁寧で、心の篭もった言葉、すごく嬉しかったです。
アナタ様の言葉はスタッフのはげみになります。
また良かったら、気軽におたちよりください。

●カンタループの「今月のジャズナンバー」を更新いたしました。
よかったら、お読みください。

●カンタループのウェブ拍手。ちょっと春を意識するような小噺や作品を募集します。
スタッフの方、新しい方、みなさんどんと来い!

●カルタ企画。素敵な絵札と読み札を投稿していただきました。
こちらもどうぞ、どんと来い!

●カルタ企画の中で、あたらしく投稿できる企画を考えております。
ちかいうちにお知らせしますよ。


以上でございます。みなさん、お体大事にしてくださいね~。
kabzn.jpg
2月前にこさえた鞄
いつもいつも持ち歩いている
少し糸目がほつれたところを、今日は手縫いで直しておく。
はじめは硬かった生地が、使うたびにやわらかくなってくる。

ずいぶん馴染んできた。
いっぱい可愛がって使おう。

nigorisake.jpg



























体調が戻ってきたので、色々と作りたくなりました。
牡蠣や新玉葱、サーモンにカツオ。
濁り酒とあわせながら。


さて、ものすごーーーく久しぶりに、話を書きました。
また気が向いた時にでも読んでくださると嬉しいです。


ウェブ拍手、ありがとうございます。

monmonの氷上くんの話に感想を下さった、かわさん。どうもはじめましてw
とても嬉しかったです。ありがとうございました。

さつきさん、わざわざありがとうございます!
コルダ3、私もやってみたーいw


他にも拍手ありがとうございました。そういえば、このサイト。
今度の3月で5周年を迎えます。
みなさまのおかげです。ありがとう。



毎年大寒を越す頃、決まって自分は体を壊している。そう気付いたのは、たったいま。
5日分もたまった家計簿をつけなおして、「去年の今頃って…」と同じ日を見返したら
高熱を出して寝込んでいた。偶然かと思って、一昨年のも見てみる。やっぱり、寝込んでいた。
花粉症もそうだけど、体調のサイクルも年間通して似たような状態を繰り返している。
「今年も健康でありますように」って願掛けしたけど、もっと自分で体調を管理しないといけないなあと痛感。

……と、しょっぱなからこんな反省文を書いている自分です。

新しい年に馴染んできたこの頃ですが、みなさんいかがお過ごしですか。
今日も寒い一日になりますね。

普段は降らない所でも雪が降り積もっている所もありますね。
十分気をつけて下さいね。

さて、ここで一枚、春の便りを。

ssirobanatannpopo.jpg

仕事で山道を歩いていたら、タンポポの花が咲いていました。
白い花のタンポポ。「シロバナタンポポ」です。
今ではタンポポと言うと、花の色は黄色と皆さん思うでしょ。
この黄色い花が全国のどこでも見られるようになったのは、
30年くらい前から。それより前は、白いタンポポの方が沢山咲いていました。
今ではなかなかお眼にかからなくなりました。
見つけたら、そっと写真を撮らせてもらいます。

gohan11.jpg

そうそう、今月はビンボー暮らしを満喫しておりました。
正月に贅沢をしたわけではないのですが、給料日の一週間前から
我が家の食事はずっとパスタ。パスタは気にいったところの乾麺を5キロほどまとめ買いして
おります。他に重宝するのが白菜。
煮物にも味噌汁の具にも炒め物にも白菜。特に白菜の芯。奥さん、芯は使えますよ!(笑)

あと、年末から年始にかけてウェブ拍手の方に沢山メッセージを頂きまして
本当にありがとうございました。

都南真夜さま、智さん、ぺるさん、スコ先輩(いつも心の中でスコッチィさんのことをスコ先輩と呼んでしまう)。そしてカルタ企画のリンク切れ等を丁寧に教えて下さった方。
ありがたく読ませていただいております。本当にどうもありがとうございました。

ここしばらく、「ただいま」の方の更新が途絶えておりましたが、ようやく
1つできあがりそうです。ちょっと長めの話です。
あともう少ししたら全部まとめて出しますので、
よかったら読んでやってください。ではでは~。

カオポンは色々趣味があるのですが、その中にお裁縫があります。
お裁縫と言うと何だか聞こえが良いのですが、作りは大変雑です。
服を作る場合、生地を型紙にあてて裁断するのですが
私は型紙どおりに裁断した事がありません。作りながら「あ、ここでダーツいれちゃおう」とか、
勝手に寸法も変えちゃう。本で見たイメージと全く違うつくりのものができあがってしまいます。
もう20年ぐらいなるのかな。思いついたらミシンを出して縫うようになったのは。

ミシンはこれで二台目。一台目が8年ぐらい前に動かなくなったので、その時大金をはたいて
新しく買いました。今思うと、もっとミシンのことをよく勉強してから買えば良かったと思います。
当時最先端のコンピューターミシン。100種類以上のステッチと刺繍機能がついていると言えば
お幾らするのか検討がつくでしょう。
自分はミシン売り場の人から、「これは工業用ミシン並に丈夫で、どんな厚物でも縫えちゃいますよ」の言葉に魅かれて購入を決めました。
刺繍もステッチも全然必要なかったのです。とにかく直線縫いで、帆布やジーンズ、皮など生地をえらばずにがしがしと縫えるミシンが欲しかったのです。

だから、買った後、こわれるまでは殆ど刺繍をかけたことがありませんでした。
刺繍は自分の手でさすもの。そのほうが味わいありますもん。

へたくそなりに、いっぱい縫いました。
おもいつくままに、色んなものをこさえました。
ちょっとしたものが作れるようになると、今度は誰かにあげたくなります。
カンナしゃんや智さんには、鞄を塗ってはよく押し付けたなあ。

義父ちゃんの介護や仕事が忙しくなってからは2年ほどミシンを動かさなかったのですが
今年の秋からはひさしぶりに作りたくなりました。

syugeibu.jpg

まずは変態部の修学旅行に向けて、部員全員に「変態鞄」。4つこさえました。

wainbag.jpg

お次はワインバック。御贔屓にしている酒屋さんからお得意さん用の
ノベルティグッズはないかと相談を受けて、作ったもの。
先に作った変態鞄と同様、布は南フランスの生地。
ビニール加工してあります。
ワインでも一升瓶でもはいる大きさ。

はじめに試作で作ったものを含めると8個。

okuru.jpg

酒屋さんで月に一度ひらかれるお酒の試飲会の様子をイメージして
おいらの力がぬけるような絵を添えて。

へたくそでも、手作りは人の心を少しでも動かせるようです。
できましたよーと納品に行ったら、酒屋の奥様は感極まって泣いて下さいました。
そのことを家人に報告したら
「きっとお疲れだったんだよ」と。
そうだよなあ。
でも、ちょっとでも喜んでいただけたなら、それでいいや。

その後、また知人へ1つ鞄をつくることになり、変態鞄と同じデザインのものを
作ろうとしていた時のことでした。
「ががががが」と急に変な音と一緒に針のおくりが極端に遅くなりました。
どうしたことかしらん。
その時点で、もっと丁寧にあつかってあげれば良かったと後悔しています。
厚い生地を縫い続けること半日間。使用した布は10メートルを超えていました。
突然、ぶちんと音をたてて、ミシンは動きを止めました。
それも最後に鞄の持ち手を縫った時に。

自他共に認める「直し屋」の家人が、さっそくミシンを分解してみてくれましたが
もう手遅れでした。
曲がる事の無い部品が曲がっておりました。
「こわれちゃったねー」とその時はあっけらかんとしていたのですが
部屋の隅におかれたミシンを見るたびに
色々な思いで胸がいっぱいになりました。

幾つ作ったのかな。100は越えてるな。元はとれたのかな。
もっと使えたのかな。
きれいなこと、意地汚いこと、いっぱい考えました。そして年末になって、やっとミシンに
「ぐっばい」とお別れを言う事ができました。

さよならミシンさん。もうしばらくは、新しいミシンを買いません。
今度買うとしたら、工業用ミシン。ロックミシンも欲しいな。
まずはこの数年間で集まった布切れを、手で縫い合わせようと思います。
これで何をつくろうかな。テーブルクロスかな。カーテンにしようかな。

全部つなぎ合わせたら、新しくミシンを買おうと思います。
その時こそ、大事に使おうと思います。


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