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年が明けて少し設楽、もとい、少ししたら、
近所の酒屋さんから「カオポンさーん、初絞りの時期がきましたよー」
「●●酒造さんとこが、限定で荒走りだしてますよ、どうです?」
「にごりも出ましたよ!とっておきましょうか」
と、毎日の様にお知らせがきます。

なぜかカオポンの家のまわり3キロ以内に、すごく良い酒屋が4軒もある。
それぞれ御贔屓にしている蔵元があって、そこがまた全部美味い。
冬は良いなあ。
ほんと、お酒が美味しい。
そんな気張った料理を作る必要はなくてさ、
新鮮な魚と旬の野菜があれば、それを肴にしてね。
ちびちびやるんですよ。幸せですよ。
ごはんは丁寧に炊くと良いね。酒がますます美味くなります。

写真はですね、秋田県の日の丸さんの所で作ってるお酒。
「まんさくの花」というお酒が有名です。
これはお酒を作る1つのタンクから、3種類の絞り方をして、それぞれ瓶につめたもの。
お酒もね、絞り方1つで味がちがうの。
少しずつ飲み比べするんですよ。こんな飲み方、蔵元に行かないと飲めないよ。
秋田は遠いものね。ここで飲めるなんて幸せです。

去年の暮れに胃を傷めて以来、もう以前のようにがばがばと飲まなくなりました。
今はちびちび。

日本酒のお好きな方、いらっつしゃいましたら拍手のところで良いですので
おすすめのがありましたら教えて下さいませ。
あっ、焼酎でもOkですよ。ワインでも良いよ。って、お酒なら、何でも良いよw

話が変わって、設楽せんぱいのお祭り、連日楽しんでおります。
設楽せんぱいってさ、可笑しな人だよね。音楽に秀でた人って、時々奇人変人がいるけれど
せんぱいはそこまでじゃないね。まだ色さまの方が奇人の類にはいると思う。
人間的には嵐さんや、玉緒さんの方がずっとずっと出来た人だと思う。なのに、こうも人気が
あるのは、彼が可笑しなところを一杯もっているからだと思う。
あの可笑しさに愛情を感じてしまうんだね。

お祭りに参加された方々の作品を見ていると、誰もまともな設楽先輩じゃない。
まともじゃない先輩を描いた作品は、どれも心惹かれる。
先輩って、凄いねえ。


カオポンが投稿した話を、読んで下さって、
丁寧に心を込めて感想を送ってくださる方がいる。
読んで下さって、本当にありがとう。
感謝の気持ちで、いっぱいです。

ほんと、ありがとう。



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早いものでもう2月。
1月31日から2月3日まで、カオポンの所は毎日節分祭り。
鬼が一日1クラス限定でこどもを脅しに来るんですな。
月曜日も名古屋は朝から小雪が舞い、豆まきは外で行いました。

今年は特に寒いですねえ。
でも、この節分がすぎれば次の日は立春です。もう春なんですね。

この寒さにかまけて色々更新が途絶えておりましたが、
今日は久しぶりに話を1つ。
去年の暮れから書き始めた「ジングル」の続きです。
斉藤さんがちょっと哀れですが、きっとここから斉藤さんに春が来ると思いますので
続きにもお付き合いくださると嬉しいです。

あと、ジョージさん主催のしたら先輩祭り、いよいよ今日から始まりました。
わあー。
これこそ、春です。
先に内覧会というしゃれたおもてなしを頂きまして
見てまいりました。
あたしゃ、今住んでいるマンションが建てられる前の内覧会に行っておりません。
なので内覧会と言う言葉の響きで、まずはきゅーーーんときました。

もうすごいですよ。
読んだあと、見た後に必ずきゅーんとなったり、じんわりとなったりします。
すてきな、すてきな作品が勢ぞろいです。
期間ごとにだったかな、少しずつ色々な作品が見れます。
だから何度でも足を運びたくなる。
かっぱえびせんみたいな祭りです。

心も体も冷え気味な方は、是非、お祭り会場まで足を運んでみてください。

カフェ番長の方、二ヶ月ぶりに更新です。
1月の暮らしをまとめてみました。
よかったらこっちの方も覗いてやってください。

あとはウェブ拍手色々とありがとうございました。
スコ様、LOVE!!
いきなりの告白でごめんなさい。(笑)
癒されましたw

カオポンは咳がなかなか止みません。明日、病院に行ってきます。
もう咳がでるようになってから3回も病院に行っているんだけど、
止まらないんだなあ。
咳以外は元気ですからね!
皆さんもお体、大切にね!


カオポンが勤務している所の園児達にもじわりじわりとインフルエンザ感染の報告が増えてきました。
あとノロウィルス。こっちは職員の方も感染中。

カオポンはちょっと風邪を引いてますが、元気です。
毎日寒い日が続きますが、山の中で秘密基地を作ったり川の堤防をマラソンしたり
みんなでドッジボールをやってます。じっとしていると冷えるので動くしかないです。毎日時間が足りないなあ。
あれこれ書きたいものが山積みです。
でも、今は体を温存します。2月の節分が過ぎると、ちょっと落ち着くんだけどなあ。

友人殿から頂いたGS3のCDを車の中で聴いております。

いいねえ、いいねえ。ミニドラマ。

このままCDかかったまま、うっかりお客さんを乗せてしまいました。
これで二度目。でも、もう、慌てない。一度目は事故るんじゃないかと思うぐらい慌てたよ。

こうちゃんと一緒にぽーちどえっぐ。いいねえ。
玉子料理ってところがいいねえ。なんかやーらしいねえ。
あの話を聞いたあと、久しぶりに作りたくなりました。

あと、話変わりますがmonmonの方で「いろどり」の続きをUpしました。
三原くんの誕生日だのーと思い出しまして。
氷上くんの話やタイラーの話、birdの続きなど、monmonの方も書きかけの話がいっぱい。
ただいま。の方は、益田さんの「コーヒースタンド」と去年の暮れからはじめた「ジンぐる」。
今年の目標はどれか1つでも話しを最後まで書く事。

一つ一つを丁寧に書きたいな。



とりとめもなく色々書きましたが、今日はこのへんで。
今から塩鯖を焼いて、大根をおろそうろ思います。

先ほど、設楽先輩祭りに向けてのお話を書き終えました。
いっぱいいっぱい書いたのに、読み直しながら無駄な表現を削っていくと
何ともあっさりとしたものになりました。

反省点は一杯ありますが、今回はこれでいこうと思います。

さあ明日からはさいミヨだ。

ちなみにお話のタイトルは「わびすけ」です。

わびすけさーん。

サマーのわびすけさんを思い出した……。

今日のご飯は鮭のバター焼きと昨日のブリ大根の残り。あとは豆腐と白葱の白味噌でした。

あああああ、鼻がつまるー。

雪が凄いですね。滅多に降らない名古屋ですが、今日はけっこう積もりました。
明日はどうやって職場まで行こうかな。山の手な所にあるので、車の運転は怖いです。

正月が過ぎて随分経ちました。
仕事も始まって忙しくやってます。元気にしています。

今年はとにかく病気をしないように。
それを目標に暮らしてます。
後は色々映画を家で見てます。

最近見てよかったなあと思ったのは「キンキーブーツ」と「グレンミラー物語」。「マルタの優しい刺繍」。
グレンミラーはジャズ好きじゃない人が見ても楽しめると思うよ。
途中でサッチモが歌ってる場面見たら、なんか泣けてきた。
キンキーブーツは素敵なドラァグ・クイーンと田舎の靴屋さんのお話。

寒いからね。家でのんびりが良いね。

創作のほうも色々やってます。
サイトのトップページにもありますが、ジョージさん主催で素敵なシタラ祭りが開催されます。
素敵な作家さん、絵師さん達が参加されます。
カオポンも参加します。ものすごい恐縮です。
このお祭りに向けて話しを書き進めております。
今週中にこちらの話の投稿を終えれたら、次からは「さいミヨ」の話の続きと、氷上くんの話とか大迫先生の話、あとmonmonの方でbirdと「いろどり」の続きをUPしますよ。
とにかくシタラ先輩の話を優先にしてます。

休みの間、色々映画を見ていて、良いなあと思えるカメラアングルとか台詞など色々勉強しました。
これから書いていく話が、少しでも良い形で表現できると良いなあ。
感じたことをそのまま文章に表せると良いなあ。
ひとりよがりではなくて、どの人が読んでもわかりやすく頭の中でイメージできる文章を書きたいなあ。

そんな事を思っています。
これが今年の創作に対する目標ですな。


 

あけましておめでとうございます。

ことしも

よろしくおつきあいくださいませ。

 


 


「この子は言葉が遅くてね。ほんと、大人しい子だった」
盆正月で親戚が集まると、決まって親はそう言って斉藤の幼い頃を偲ぶ。本人にも僅かだがその記憶は残っている。
3つの年を数える頃、親に連れられて専門家に診てもらった。嫌いな注射を打ちにいくのかと思ってそこまで辿り着くのに随分暴れた。終いには、当時まだ達者だった爺さんに体を担がれて軽トラックに荷台に放り込まれてしまった。
鶏糞のつまった麻袋と一緒に荷物と同じ扱いを受けた事、今思い出しても胸が痛い。
後で知ったが、連れて行かれた場所は病院ではなく、保健所だった。
殺風景な部屋の中、制服を来た女の職員が自分の傍に来て何か話しかけてきた。
自動車で遊びましょう、絵本を見ましょう、おやつを頂きましょう。
機械的に繰り返される職員の促しに対して、幼い自分は無関心を装った。
親とは随分違う優しい言葉がけ、無意味なスキンシップと愛想笑い。
何となくではあるが、自分を試されていることは分っていた。この部屋にはいないが、親も何処かで自分の様子を伺っているのも知っていた。
どうすればまわりを落胆させる事ができるのか。考えた末にとった行動は「だんまりを決める」事。
部屋の隅にじっと座りこみ、親指を吸う。
まわりのため息が聞こえてきそうな空気を感じ取り、斉藤は一人満足した。

検診の結果、要注意との判定が下された。知恵は劣ってはいないが、言葉が遅いのは確かとの事。
言葉を知らないのではなく、言葉を発する気持ちが育っていないと。
その後両親は、しばらく色んな所へ行っては、息子の療育の為に躍起になった。
特に母親はたいそう心配した様で、気に病むあまりに息子を激しく叱った。いつだったか、「いただきます」の挨拶ができない事に腹を立てられて、挨拶ができるまで外に放られた事がある。
秋の初めの夕暮れは思ったよりも早い。自分の家も近所の家も、灯りが灯っているのに、自分の足元は悲しくなるほど暗かった。
刈り時を待つ稲刈り機の座席へよじ登ると、斉藤は声を殺して泣いた。自分は本当に愛されているのか、良く分らなかった。
親の期待通りの行動をとらないと、愛情を求める事さえも許されないのではと思った。


そんな自分が、今では言葉を商売にして生きている。
全てを疑って懸かる者、あからさまに嫌悪を抱く者と対峙した時ほど、血が騒ぐ。
しゃべって、しゃべって、しゃべりまくる。相手が聞くのに疲れ果て、その挙句に「YES」と言わせてしまうまで喋り捲る。
売りつける商品が十分胡散臭いのを承知の上で、相手に購買を決意させた時の快感。
これが悪だと誰に罵しられようと、この商売を辞める気は毛頭無い。
そうやって自分を酷く罵る奴には、一番高額で粗悪な物を売りつけてやる。
どこまでも腐りきった舌で、あの時も同じ様に貶めようと斉藤は企んでいた。
上手く誑し込めば、その報酬は十分期待できる。斉藤は必死だった。今までに無いほどの声色を使って、相手を良い気にさせてやろう。気合十分で相手に向かったのに……。


「何」
黒髪の少女は斉藤を見るなり怪訝そうな表情を浮かべた。そしてため息をつくとゆっくりと瞼を閉じる。
長い睫が閉じられていく様を、斉藤は見逃すことは無かった。僅か数秒の間に起きた事なのに、そこだけ時間がゆっくりと進んでいく様だ。
「あなた、誰」
目が開くと、今度はじっと見つめられた。何かを見透かすような神秘的な目に斉藤の心はざわつく。
「お、俺?」
思わず声が裏返った。
「俺はそのー、こ、こ、こういう、こういう者なんだけど…って、あれ?あれっ?な、無い?!」
背広の懐に手を入れながら斉藤は叫んだ。いつもなら僅か2秒程で相手に差し出す名刺が何処を探しても無い。
これはどういう事だ。斉藤は混乱した。このままでは唯の不審者だと思って逃げられてしまう。
「あ、本当は名刺がちゃーんとあるんだけど、どっかいっちゃってさ。君があんまりにも可愛いから、おにーさんちょっとパニくっちゃって!あは、あはははは」
ああ神様、どうか俺にチャンスを!必死に頭の中で念じたものの、その願いは届かなかったようだ。
カルソンを脇に挟むと、少女は斉藤から離れようとする。
「ちょ、ちょっと待って!」
邪魔な前髪を手で払いのけると、斉藤は少女を追った。
「は、話聞いてくれよ!」
駆け出した先に鳩が群れている。慌てる斉藤の足音に驚いて、鳩がわっと飛び上がった。10羽以上の羽ばたきに少女の足が止まる。

「あの、俺。俺…」
社会人になって以来、ずっと怠けた体で全力疾走をするのは、相当堪えた様だ。破裂しそうな程の激しい鼓動に、斉藤は思わず胸を押さえた。
「ほ、ほんとに君が可愛いと思って、それで話しかけたんだ。俺、スカウトの仕事をしてるんだけど、君を是非アイドルにしたいと思って、それで」
「結構です」
「えっ?」
どういう事?俺がこんなに「君が可愛い」って言っているのに。恐ろしく冷めた声に斉藤は震えた。
「いや、その。ねっ、俺の話ちゃんと聞いて」
普通なら、ここで相手の両肩をつかんでがんじがらめにして説得する所だが、少女の肩に手をかける事はしなかった。
全身から何か発する物を感じて、さっきから手が少しも言う事を聞かないのだ。ひょっとして、少し前に流行った気孔ってやつだろうか。
「話は聞きました」
「だ、だから。君はすごく可愛いの、分る?友達から良く言われるでしょ?男の子に、もてたりするんじゃない?でしょ?でしょでしょー?だよねー。おにーさん、もう少し自分が若かったらスカウトじゃなくてマジナンパしようと思って」
「臭い」
「へっ?!」
何、臭いって。いきなり衝撃的な発言に斉藤は面食らう。
そして次の言葉でノックアウトを決められてしまう事を知らずに。






第三話 おわり。

恋の始まりは、最悪な印象をお互いに持って。








※monmon掲載の「童貞を失えば」に色々と暖かい感想をありがとうございました。
官能系の話って読むのは楽しいと思うんですよ。それで、その人なりにドキドキしたりムラムラしてもらえればそれで良いなって思います。感想を伝えるのは難しいですよね。内容が、内容なだけに。
自分がmonmonのサイトを立ち上げるきっかけになったのは、8年ぐらい通い続けているウェブ作家さんの作品に影響を受けております。
とにかく、この方の書かれる官能小説は素晴らしい。どれだけ感動して泣いた事か。
読んでいると、頭の中がピンク色に染まります。
身も心も潤うってこういう事を言うんでしょうね。
官能小説は侮れませんよ。性欲は人間にとって絶対に欠かすことのできない欲望です。
その欲の発し方を、どう文学的に表現されているか。
子どもの時から太宰治やヘルマンヘッセ等の話しを読んでは、むらむらしていた自分にとっては、
その方の作品は正に心の底から読みたかった官能小説でした。

この2年余り活動を休止されていたのですが、この秋から活動を再開されました。
この事をついったーで知った時は、本当に嬉しかった。
思わず「ついったーを始めてよかったと思ったこと。アナタの更新を知ること」と、言葉を送っちゃいましたもん。
それでですね、いつかはその方に感想文を送りたいと思っています。
時々下書きしてみるんだけど、難しいですね。好きですと、ただ一言伝えればいいのに、それがなかなか。

なので、「童貞を失えば」に感想を送って下さってありがとうございました。
あっ、スパムメール並のやーらしい文章でもOKですよ(笑)。何か感じたものがあれば、どうぞ自由に伝えてくださいね。


そうそう。昨日、久しぶりにビレバン(ビレッジ・バンガードと言う名の本屋さん)に寄ったのですが
「エロい物コーナー」の所に手塚治虫の「奇子」が詰まれておりました。

くるよねえ、奇子。
差別・偏見・近親相姦・強姦
漢字だらけですが、この作品は正にこんな感じ。素晴らしい作品ですよ。

ではでは、色々と話しが飛びましたが今日はこのへんで。
大掃除はちっとも進みません。

眠いなあ。

氷上くんのお話、その五話をUPしました。
monmonの方で御覧下さいませ。

23日のクリスマスパーティーはなかなか萌えでございました。
いつものバンドメンバーに加えて、ピアノとバイオリン、ベースが入って
色々セッションを楽しむことができました。
御三方とも若い!彼らがいるだけで、絵的には勿論のこと、音にも艶が出て
物凄く興奮しました。
ジャズにバイオリンがからむのはたまりませんな。

他にも沢山の大学生の子達が集まりまして、じぶんたちアダルトチームも
その中に適当にまぜてくれました。
みんな気配り屋さんだ。
気配りパラ300はいってると思う。
厨房の中で、おだやかな表情で大根の面取りをしていた彼は素敵だったなあ。
おでんにしようと思って。こうした方が煮崩れしませんよね。
でも俺、崩れた大根も好きですけどね。
そう言って静かに笑う彼の包丁さばきが物凄く慣れておりました。
厨房男子。これもなかなかポイントが高いですな。

おいらは変態Tシャツを着ていったお陰で、ものすごくちやほやされました。
普段陽の目をあびることが少ないので、かなり戸惑いました。
「素敵だ、変態!」
「俺も変態部に入りたいです」
みんな目をキラキラと輝かせて、自分の変態っぷりをアピールしておりました。
素敵だなあ、変態。

全体の雰囲気が凄く良かったので、写真も沢山撮らせてもらいました。
掲載の許可も頂けたので、今度「カフェ番長」の方で。

ではでは、今から大掃除に入ります。
暇ができたらジンぐるの続きに入ろうと思います。ではではw


通勤客で隙間無く埋め尽くされた車内の中、吊るされた広告版が小さく揺れはじめた。
緩やかなカーブに添って、3両編成の鈍行列車が海沿いをゆっくりと進んでいく。
それまで居眠りを決めていた斉藤は、ゆっくりと顔をあげる。深酒のせいで頭が酷く痛い。
スーツのポケットから小瓶を出すと、まだ半分ほど残っている液体をゆっくりと口に含む。
瓶口から漂うかすかな薬草の香りが、弱った胃壁を刺激する。
丁度胃底のあたりを擦りながら、全てを飲み干す。空になった小瓶をポケットに仕舞うと、斉藤は大きく溜息をついた。

昭和の終わりに開通した「はばたき線」は、海沿いにそって南北に50キロ弱の路線を結んでいる。
始点から終点まで17ある駅のうち、「新はばたき駅」はちょうど真ん中のあたりに位置する。
山と海に囲まれたこの街は、駅を中心に随分栄えているが、数キロ先の次の駅にさしかかるとすぐに景色は様変わりする。
元は農業と漁業が盛んな田舎町だ。線路が敷かれてもそれはさほど変わらない。
寒色のビジネスコート、ウールのセーター。無表情な顔で吊革に手をかける乗客の隙間から、かすかに赤い色が揺れている。座席に腰掛けた目線からすると、あれは子どもだ。
「おい」
斉藤は立ち上がると、赤い色に向かって声をかけた。



電車の扉窓に額をぎゅうと押さえつけるような格好で、斉藤は残り2つの区間をやり過ごすことにした。
背を向けた方向から、子供の喋り声が聞こえる。たぶん席を譲った子どもだろう。
同じ学校に通う友達を見つけたのか大声で名前を呼んでいる。
うるせえな、ガキ。いつまでも馬鹿みたいに騒いでると頭叩くぞ。
子どもだから譲った。だが、子どもは嫌いだ。
それも、こんな二日酔いの朝にあんなキンキン声で騒がれちゃ、たまったものではない。
席なんか譲らなきゃ良かった。くしゃりと手で顔を覆っ後、斉藤は「ふうー」と鼻息を窓かける。
そして、熱気と鼻息で一面に曇った窓に手を滑らせる。僅かだが、そこだけ風景がはっきりと色を持って斉藤の目に飛び込んできた。

それまで見えていた海岸は消え、代わりに赤茶色の農地が広がっていた。収穫を終えて休耕する農地の中にぽつぽつとビニールハウスが点在する。
温暖な気候の特色を生かして、この辺りは菊や蘭など観賞花の栽培や苺の栽培が盛んだ。
代々農業を営む斉藤の実家も、苺の出荷で忙しい。今朝方、斉藤の下に届いた携帯メールは実家からだった。それもただ一言、「収穫を手伝え」と。
--------だーれが、苺なんか摘んでやるか。
子どもの頃からこの時期になると、毎日苺の収穫を手伝わされた。夜明け前に起されると、ビニールハウスの隣にある倉庫で出荷の作業を手伝わされる。
倉庫の中は極寒だ。暖かいのはハウスだけ。摘み取る作業は大人の分担、箱詰め作業は斉藤の分担と物心ついた時からそれは決まっていた。
摘み取られた苺を形良く箱の中に詰めていくのだが、収穫した物は形と大きさを見て細かく分けていく。
果物屋に並ぶ贈答用の苺が全て向きを揃えてきっちりと収まっているが、それは全て人の手に関わっている。斉藤は誰よりも手際よくその作業をする事ができるのだ。
今ではハンカチの皺がくしゃくしゃになろうと全く気にもとめない男だが、元は几帳面な性格だ。
斉藤がまだ2つか3つの頃、正月に大勢の親戚が集まった際、盛大に脱ぎ散らかした客の靴を、客が酒盛りしている間に一人で全て並び直したらしい。
大人ばかりで遊びに飽き足りていたからこそ、自然に生まれた遊びであったが、それを見た大人たちは驚愕した。
男物と女物、若者から老いている者。おもちゃとして扱った客の靴は、見事に分類されていたのだ。
「この子は苺で成功するよ」
親戚の誰かがそう言って斉藤を誉めた。酔った雰囲気の中でそう言ったに違いないが、斉藤の親はその言葉を真に受けた。
丁度、ビニール栽培で何か作ろうと考えていた時だったのだ。


それ以来、冬が近付いてくると、斉藤は滅入った。はじめは面白く感じた苺の仕分けも、自分が成長するにつれ面白味は薄れた。
遊びでは無い。家族の生計に関わっていると子どもながらに現実を悟ったのだ。
そして、苺の栽培が自分の将来に深く関わってきそうな予感がした。
----苺なんて見たくもねえ。
高校を卒業したと同時に実家を離れたのは、そういった理由だった。
親は農業専門の大学に進学させたがったが、それも頑なに拒んだ。見かねた父親が受験を強制した為、ますます嫌になった。
結果、受験は失敗し浪人。斉藤はそれを機に、一人で就職を決めてしまったのだ。そこが入社三ヶ月で倒産するとは知らずに……。

額をつけていた扉が、がたっと音を立てた。駅に着いたと気づくと、斉藤は扉から離れた。
その瞬間、扉が開く。斉藤に続いて4、5人の客が続いて降りていく。
わずかな定着時間を使い切ると、列車はホームを離れていく。ベンチに深く背をもたれかけさせた姿勢で、斉藤は列車を見送った。
改めて腰を下ろしてみると、まだ胃の辺りが辛い。
-----どんだけ飲んだんだよ、俺。
目を瞑り、昨日ことを一部始終思い出そうとするものの、殆どの記憶が曖昧だ。
一番新しい記憶は、深夜の1時。三件目の居酒屋のトイレで2度ほど嘔吐した。便座につっぷして、そのまま眠った。
それより前は…前の晩の11時ぐらい。同僚の「高木」と赤提灯で酒を飲んだ。たぶん、昨日の「あの事」がネックになってたと思う。随分高木に話しを聞いてもらった。
ただ、高木に何をアドバイスされたのかは覚えてないし、あいつも俺が何を愚痴ってたのか覚えていないだろう。
それより前は。
銀行の預金残高がマイナスになっていたこと、家に戻ったら高校の時の連れが結婚したと葉書で知ったこと、玄関のチャイムがピンポンと鳴ってうっかり出てしまったら、宗教の勧誘でうんざりしたこと、それからそれから……。
少しずつ記憶が戻るにつれ気持ちが酷く滅入っていく。
そうだ。あれだ。俺がこんなに二日酔いで苦しむのも、元はと言えば全部アイツのせいだ。
アイツの…、アイツのあんな一言さえなかったら、俺は。
それ以上の記憶の再生を、できる事なら止めていたかった。しかし「アイツ」という言葉が頭の中に浮かんだ時点で、斉藤は止めることができなくなっていた。
激しい頭痛と目の奥に宿る少女の残像。
暮れて行く景色の中に、斉藤は自分と少女の姿を探す。
少女はベンチに座り、斉藤を見つめていた。お得意の軽い雰囲気で声をかけたつもりだった。
もう何度も使った手口だ。

君可愛いね、何しているの、あ、びっくりした?したよね、したよねごめんごめーん。
いやあ、君凄く可愛いから、お兄さんちょっと声かけたくなっちゃったんだよね。ああ、怖がらなくても良いよ、お兄さん何にもしないからさ。

この言葉をとにかく叩きつける。相手がびびって逃げ出さないように、まずは「君が可愛い」って事を向こうのイメージに叩きつける。女は可愛いと言う言葉に弱い。きれいより、可愛い。若かろうか御婦人だろうが、年は構わない。これで大抵の女は俺の話しを聞いてくれる。くれるはずだった。
あの時、俺が間違わなかったら。

君、可愛いね……。

どうして俺、そこで止めてしまったのだろう……。
斉藤はそこまで思い出すと「そんなのありえねえ」と呻いた。





第二話 おわり




実家は苺農家。あたらしく、こんな要素を斉藤に足してみました。この苺が後に関わってきますよ。



昨日は応援拍手ありがとうございました。ハイヂさん、ありがとうね~。

朝4時半ごろに書いて、一度寝る。
9時半に米屋さんが米5キロを担いで訪問。
うまい米を買った。

ジンぐる 読み直し。改稿。HTMLにおこす。

へーさんからのコメントに萌えたぎる。
ついったーでくじらさんにプッシュして頂き、尚萌えたぎる。
お心優しいウェブ拍手。本当にありがとうございます。

一人じゃないんだね…!

斉藤くん良いよ!

良いのよー。


今からジャズバンドのクリスマス会に行ってきます。変態Tシャツ着て歌ってきますよ。


そして「やんごとなきお方」、お誕生日おめでとうございます。

あなた様のお陰で、おいらは妄想を楽しむ時間をもらえました。書いていて、ドキドキするよ…!
まさかこんなところ、宮●省のお役人がチェックする事は無いと思うが。(笑)
あんまり寝てないので変なことばかり書いてすみません…!

みなさんも素敵な祭日をお過ごしくださいね。
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