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カンタループや「かるた企画」の方を一生懸命にやっていると、
ああ話を書きたいなあと思います。
沢山の方々の素敵な話、素敵な絵。創作にかける意気込みや悩みを聞かせていただいているうちに、
最近自分は、自分の話を書かなくなっていたことに気付きました。
もうすぐ冬休み。
我が家は毎年、殆どを自宅で過ごします。
この休みの間に、ひとつでもふたつでも良いから、書きたいと思います。


ちなみに、今途中まで書いている話のさわりの部分を。


「ネクタイと、夜の海」(氷室先生のお話ですよ)

日が落ちるのが随分早くなった様な気がする。
私はママからもらったばかりの「おさがり」の腕時計を覗いた。
携帯で時間を確認するのが今の時代では普通だと思うけれど、私のママはそんな事はしない。
ある時は胸元に揺れている懐中時計であったり、またある時はローマ字表記の数字が刻まれた腕時計だったり。
時を重ねるって、繊細なものなよ。だから、そんなデジタルなもので時を測らないで。
そう教えてくれたママの横顔がとてもきれいだった。だから私も欲しくなったのだ。ママみたいに、時計を持ちたいって。
そして何度がねだった挙句にやっと手に入れたものは、随分子どもっぽい趣味のものだった。
なんでも、ママが始めて手にした時計らしい。
黄緑色の文字盤の上では、『トムとジェリー』がテニスをしていている。テレビの再放送で見た、あのフサフサした毛並みのトムが可愛いらしい。
高かったのよー、これ。母さんはリューズ(ネジ)を巻きながら随分もったいぶった様子で、私に譲ってくれた。
そして覗き込んだ丸い文字盤には、薄明かりの中でトム達が無邪気にラケットを振っている。
二匹のラケットはぞれぞれ短針と長針の役割を担い、丁度17時5分だと私に教えてくれる。
もう、そんな時間なんだ。何だかお腹が空いてきちゃったな。


校門のすぐ傍にある石碑にもられると、私はそこから地面に伸びた自分の影を見つめた。
光と影の区別は曖昧で、日が落ちて暗くなったアスファルトに一秒ごとに溶けているかの様に見える。
あと一月を越えると、丁度冬至。
私の影は、いつもよりもぐっと背伸びをしていた。何だか、心細くなった自分の気持ちを現している様な影。
-----氷室先生に会いたいな。
心の中で、そう呟いた。会って何をしたいとか、そんな目的は何も無い。ただむしょうに、先生の顔が見たかった。
最後に門を閉めるのは、だいたい氷室先生だと決まっている。最後まで部活をやっているのが、先生の指導される吹奏楽部だからだ。
長くて厳しい活動が終わると、必ず先生は校門前に立って部員達が帰るのを見送る。
同じ時間に他のクラブ員も下校するので、先生はその人たちにも同じ様に声をかけている。
だけど、吹奏学部の人たちと声をかけあう雰囲気は他とは違うような気がする。
吹奏学部の人達は皆、自分の部活動に誇りをもっている。そして、顧問の氷室先生には深い尊敬と、親しみを感じるのだ。
ちょっと羨ましいな。吹奏学部の人達の連帯感とか優越感が、何だか羨ましい。

その羨ましさが恋心だと気付いたのは、少し前の事だった。
部員達に労いの声をかけている時の先生の笑顔を見た瞬間、私はとても切ない気持ちになった。
先生に会いたい。教室の外で、一人の生徒として先生に挨拶をしたい。怒られても、小言を頂戴しても良いから、先生に声をかけてもらいたい。
そんな事を思って、校門で待ちぼうけする事4回目。
最後に校門を閉めるはずなのに、これまで一度も先生にお目にかかった事は無い。
それもそのはず、ちょっと私は飽きっぽい所があって、それが全て災いしている。
待っている間にどこかで子猫の鳴き声がすると思って探しに行ったら葉月くんが猫を抱えていてちょっと話につきあってしまったり、
守村くんから焼き芋を焼いたから公園に来て下さいと呼び出されて、ほいほい行ってしまったり……。
食い気とか他所事につい気持ちをもっていかれてしまって、先生への気持ちが少しも消化されていない空しさ。
今日こそは。
今日こそは必ず、先生に会いたい。そんな決意を持って、私はここにいるのだ。






わああ。氷室先生の話を書くなんえ、久しぶりだなあ。
だってせんせぇ、好きなんだもん。

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うう…
2011/12/27(Tue) res
たのしみにしておりまする^^
書くよ!かきあげるのよー
2011/12/27(Tue) res
わあ、タカセさん。どうも読んで下さってありがとうございます。
まだまだ荒削りな文章なので、もうちょっと直しながら。
年明けにはお披露目したいです。

この前、先生祭りの時に出されたタカセさんの漫画を読んで、
カオポンは思ったよ。
そうだ。私は先生が好きだったんだ。って。

今、もういちど
先生の事を想いながら書いています。

できあがったら、是非読んでいただけると嬉しいなあ。

『今やっていること』にコメント
2011/12/29(Thu) res
カオポンさま

先ほどはブログの方にお越しいただいて、ありがとうございました。
メッセージを早速拝見しまして、GSカルタの方にもコメントさせていただきました。

正直、誰も描いてくれなかったら…と思っておりましたので、とても嬉しいです。
プリマドンナさまにもよろしくお伝えくださいませ。


あと、ブログの方にも反応いただきありがとうございます!
私もお酒が大好きで、何の因果か、今の住所は江戸時代の酒問屋の街です^^;
ワインも好きなので、ワイン蔵めぐりなんて素敵!と思いました。
塩尻は駅弁も美味しくて私も大好きです。
(実は昔、特急あずさの車内販売のバイトをしていた事があります…)
カオポンさんのブログも少しお邪魔いたしましたが、新そばを食べに行かれたという記事
が載っていて、羨ましく思いました。

長野が恋しいです。しばらく行ってませんので^^
もし、足を延ばせたら山梨の勝沼もワイン蔵めぐりおすすめです!

話がだいぶ逸れてしまいましたが、いろいろとありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
                          sayao

gmailもoutlookもエラーが出てしまうのでこちらにコメント置かせていただきますね。もし、正常に届いておりましたら重ね重ね申し訳ございませんでした…。他の閲覧者の皆様もお邪魔して申し訳ございません。
『今やっていること』にコメント
2011/12/30(Fri) res
こんにちは~、どうもこちらの方にも足をお運びくださいましてありがとうございます。
酒問屋の街にお住まいなんて、羨ましい!夢のような場所ですわw
塩尻は良いですね~。夏になると、農園一体に広がるカベルネやナイアガラの葉を眺めては、良いところだなあと見惚れています。あと長野市よりになりますが小布施のワイン。
ここもお気に入りのワイン蔵です。
勝沼のワイン祭りには、一度いってみたいと思っています。
あそこは町全体で祭りに取り組んでいますよね。蔵元や愛好家達が作った見学コースがとても充実していると聞きました。来年の秋には行ってみたいなあ。

特急あずさ。
この前、松本へ蕎麦を食べにいったら
向かいのホームにあずさが停車していました。
随分昔、「あずさ2号」という曲が流行っていたのを思い出しながら、(年代がばれちゃうわ)
見慣れない車体の色をじっくりと眺めておりました。
あずさの車内販売を経験されたことがあるとのこと。とても素敵ですね~。
きっと楽な仕事とは言えないでしょうが、素敵な経験だと思います。


またお気軽に話しかけてくださいませ。
話し好きな管理人ですのでw

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