結婚して名古屋に住んでしばらくしたころ、近所の方から誘われて、
ある、スポーツサークルに入部した。
インディアカと言う、何ともマイナーな球技で、名古屋は他所よりもこのスポーツを行う人口が多いのだとか。
少し前「わかしゃち国体」が愛知県で行われたときも、ご当地スポーツとして
この会だけインディアカの種目が取り入れられたほど、熱心らしい。
バトミントンの羽を三倍くらいに大きくしたもので、羽の下についている球の部分を片手で打ち返す。
バレーボールと同じコートで、コートの中に入るのは4人。
トスとレシーブ、アタックの三打で向こうのコートに返す。
球がコートからでたり、中に落ちたら失点。バレーに良く似ている。
バレーと違って球に威力があまりないこと、素人でもすぐに遊べること、
年齢を選ばないこと。
誰でもやれるのが良い。
学生の時、色々と運動をしていたから少しは自信があったのに、
はじめて試合をしてみたら、おばあちゃん軍団に「こてんぱん」に負けてしまった。
ばあちゃんも、じいちゃんも動きに無駄がない。
太極拳みたく、のそーーっと動きながら確実に球を拾ってくる。
若さと体力を過信してバタバタと動き回る若者たちは、試合が進むにつれ
動きがとまってしまう。
入部したときは、一つの学区で40人も部員がいて、コートの中になかなか入れてもらえないこともあった。
練習もいっぱいやったけど、それ以上にお年寄りとの交流がけっこう楽しかった。
豆の炊き方、きんぴらの作り方、風邪を引いたときに飲む柚子シロップの作り方、
ゴミの仕分け方。
いちいち嫌味を言う人もいるし、調子の良すぎる人だっている。
でも、みんな良い人。
去年の夏、急に義父の介護に直面した時、ばあちゃん達が色々と助けてくれた。
あそこのデイケアが良いとか、あそこの病院は三ヶ月で出て行けとは言わないとか、
試合中、トスをあげながらそんな事を教えてくれた。
だけどそんなおばあちゃん達も、年とともに少しずつ足腰が弱ってきた。
70を越えてそれだけ動ければ超人だと思うのだけど
動ける人ほどプライドが高い。
12月を少し過ぎた時、おばあちゃんの一人が代表して、退部を申し出てきた。
もう、36年もやってきたんですもの。いいわよね。
そう笑って言うものの、目は真剣だった。みんな、気持ちよく退部を受けることにした。
そして土曜日。小学校の体育館には部員達がいつものように集まっていた。
いつものように挨拶をして、準備体操をして、さっそく練習試合。
ばあちゃんの繰り出す強烈なサーブ。
140センチそこそこの身長しかないのに、高くあがるトス。
「カオポンちゃん!ちゃんと球とって!」
「アンタは若いんだで、もっとがんばらなアカン」
いつもと同じ様に厳しい指導。そして合間に起こる大きな笑い。
ああ、ばあちゃんたちの声。もう聞けないんだな。
練習がおわると、ばあちゃん達4人がみんなの前にでてきた。
「楽しくやらせて頂きました。ありがとうございました」
「みなさん、気をつけて」
暖かい拍手。ばあちゃんたちは小さい体をなおも小さくおりたたんで、丁寧に別れの挨拶をする。
さびしいよ。
そう思った瞬間、涙をこらえることができなかった。
「葬式じゃないんだで、泣いたらいかん」
と、叱られたけど涙は止まらない。
「カオポンちゃん。市場であったら、声かけてね」
「もっと練習して、今より上手くなってね」
退部するばあちゃん達は、優しく頭を撫でてくれた。
ああ、小さい町だからいっぺんに知られちゃう。
3丁目のカオポンさん、なんか知らんけど、このまえ体育館で泣いとったらしいよ。
そう、噂話のたねにされちゃう。
でも良い。悪いことじゃないもんね。
でも、やっぱり寂しいなあって思うのよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日の忘年会絵チャでは、たくさんの方がお立ち寄りくださり
ありがとうございました。
仕事の事とか、大好きだったおばあちゃん達がクラブを辞めちゃった事とか、
最近少し肥えて減量をはじめた事とか、大掃除がなかなか進まない事とか、
年賀状が一枚もかけていない事とか色々ありますが、
みなさんのお陰で、とても心が癒されました。
本当にありがとうございました。
早いうちに絵チャのログページを作りますね。
本当にどうもありがとうございました!
ある、スポーツサークルに入部した。
インディアカと言う、何ともマイナーな球技で、名古屋は他所よりもこのスポーツを行う人口が多いのだとか。
少し前「わかしゃち国体」が愛知県で行われたときも、ご当地スポーツとして
この会だけインディアカの種目が取り入れられたほど、熱心らしい。
バトミントンの羽を三倍くらいに大きくしたもので、羽の下についている球の部分を片手で打ち返す。
バレーボールと同じコートで、コートの中に入るのは4人。
トスとレシーブ、アタックの三打で向こうのコートに返す。
球がコートからでたり、中に落ちたら失点。バレーに良く似ている。
バレーと違って球に威力があまりないこと、素人でもすぐに遊べること、
年齢を選ばないこと。
誰でもやれるのが良い。
学生の時、色々と運動をしていたから少しは自信があったのに、
はじめて試合をしてみたら、おばあちゃん軍団に「こてんぱん」に負けてしまった。
ばあちゃんも、じいちゃんも動きに無駄がない。
太極拳みたく、のそーーっと動きながら確実に球を拾ってくる。
若さと体力を過信してバタバタと動き回る若者たちは、試合が進むにつれ
動きがとまってしまう。
入部したときは、一つの学区で40人も部員がいて、コートの中になかなか入れてもらえないこともあった。
練習もいっぱいやったけど、それ以上にお年寄りとの交流がけっこう楽しかった。
豆の炊き方、きんぴらの作り方、風邪を引いたときに飲む柚子シロップの作り方、
ゴミの仕分け方。
いちいち嫌味を言う人もいるし、調子の良すぎる人だっている。
でも、みんな良い人。
去年の夏、急に義父の介護に直面した時、ばあちゃん達が色々と助けてくれた。
あそこのデイケアが良いとか、あそこの病院は三ヶ月で出て行けとは言わないとか、
試合中、トスをあげながらそんな事を教えてくれた。
だけどそんなおばあちゃん達も、年とともに少しずつ足腰が弱ってきた。
70を越えてそれだけ動ければ超人だと思うのだけど
動ける人ほどプライドが高い。
12月を少し過ぎた時、おばあちゃんの一人が代表して、退部を申し出てきた。
もう、36年もやってきたんですもの。いいわよね。
そう笑って言うものの、目は真剣だった。みんな、気持ちよく退部を受けることにした。
そして土曜日。小学校の体育館には部員達がいつものように集まっていた。
いつものように挨拶をして、準備体操をして、さっそく練習試合。
ばあちゃんの繰り出す強烈なサーブ。
140センチそこそこの身長しかないのに、高くあがるトス。
「カオポンちゃん!ちゃんと球とって!」
「アンタは若いんだで、もっとがんばらなアカン」
いつもと同じ様に厳しい指導。そして合間に起こる大きな笑い。
ああ、ばあちゃんたちの声。もう聞けないんだな。
練習がおわると、ばあちゃん達4人がみんなの前にでてきた。
「楽しくやらせて頂きました。ありがとうございました」
「みなさん、気をつけて」
暖かい拍手。ばあちゃんたちは小さい体をなおも小さくおりたたんで、丁寧に別れの挨拶をする。
さびしいよ。
そう思った瞬間、涙をこらえることができなかった。
「葬式じゃないんだで、泣いたらいかん」
と、叱られたけど涙は止まらない。
「カオポンちゃん。市場であったら、声かけてね」
「もっと練習して、今より上手くなってね」
退部するばあちゃん達は、優しく頭を撫でてくれた。
ああ、小さい町だからいっぺんに知られちゃう。
3丁目のカオポンさん、なんか知らんけど、このまえ体育館で泣いとったらしいよ。
そう、噂話のたねにされちゃう。
でも良い。悪いことじゃないもんね。
でも、やっぱり寂しいなあって思うのよ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昨日の忘年会絵チャでは、たくさんの方がお立ち寄りくださり
ありがとうございました。
仕事の事とか、大好きだったおばあちゃん達がクラブを辞めちゃった事とか、
最近少し肥えて減量をはじめた事とか、大掃除がなかなか進まない事とか、
年賀状が一枚もかけていない事とか色々ありますが、
みなさんのお陰で、とても心が癒されました。
本当にありがとうございました。
早いうちに絵チャのログページを作りますね。
本当にどうもありがとうございました!
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