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地元では祭りを旧暦で行うところも幾つかあって、七夕祭りはつい先日に終わった。
昔は歩けないぐらい人通りで混雑したものの、今は人よりも屋台の数の方が多いと言う閑散ぶり。
祭りの最終日、サンダル履きのまま祭りの会場をぶらぶらする。
金魚すくいのところで子どもが三人。お目当ての出目金を狙ってる。
風がふわりと通りを抜けていった。

ちょっと寂しい気持ちになったので、すぐに近所の市場に入った。
市場の方もいつになく活気が無い。みんな暇してる。
私が顔を覗かせたとたん、「おやあ」と言う顔になるかしわ屋(鶏肉屋)のおじちゃん。
「今日のおすすめはイサキだ」と遠い所から声をかけてくる魚屋の爺ちゃん。
「いつもありがとうねえ。おおきにー」と甲高い声で挨拶をしてくる味噌屋のおばあちゃん。
おすすめのイサキを刺身にしてもらう。魚屋の奥さんは、残った頭の部分と骨も
別のふくろにいれて渡してくれた。
あとでこのアラを使って吸い物のだしに使うと美味いのだ。

市場を出てから数分後、酒屋に入って焼酎を小瓶につめてもらう。
選りすぐりの焼酎をいくつか大きな瓶にいれて販売してる。そこから小瓶にわけてもらうのだ。
おすすめは焼き麦。香ばしい麦の香りがする。

家にもどると、家人がテレビを見ていた。
すぐに冷蔵庫をあけてベーコンを削いで網の上で軽くあぶる。しめじを一房くわえる。
あぶったしめじはポン酢をかける。ベーコンには大葉を刻んだものをまぶす。

イサキの刺身とベーコンとしめじ。そして焼き麦の焼酎。
帰ってから数分後にならんだ酒の肴。
嬉しそうに家人は席についた。

「さっきね、七夕まつり見にいってきたの」
「うん」
「もう、ほとんど終わりって感じ。金魚屋さんを覗いたけど、けっこう良いのを置いてた。
あれは弥富金魚だと思う」
「うん」

うんうんと相槌を打ちながらイサキをつまむ家人。まだちょっとセンチな気持ちを引きずっている自分に対して
この人は心から美味そうに食べている。
日曜の、夕方だ。

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